2021年度の医学部受験ーコロナ渦で受験者増の理由とは? | 医学部を目指すならアズメディ

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2021年度の医学部受験ーコロナ渦で受験者増の理由とは?

新型コロナの感染拡大の影響が大きく、生活だけでなく学校や受験でも例年とは大きく異なった状況にあった2021年。

そんな中、今年度の医学部受験では例年よりも受験者数が増加しました。コロナ禍で医学部の受験者が増えた理由はなんだったのでしょうか。

この記事では2021年度の医学部受験の概況や傾向、受験者数が増加した理由を詳しく解説します。

2022年度の志願者数にも関わる内容となっているので、これから受験が控えている受験生の方はぜひ参考にしてみてください。

▼目次

2021年コロナ渦の医学部受験

2021年度入試は、コロナの感染拡大により例年とは大きく異なる入試となりましたが、医学部受験の概況や傾向はどうだったのでしょうか。

これまでも医学部の人気は高かったのですが、2021年はさらに医学部に人気が高まり、志願者数は国公私立大学医学部全体で前年度より増加しました。

国公立大学医学部(前期日程)では数年ぶりに志願者数が増加し、河合塾の2021年1月時点の集計結果によると、前年比113%となり、実際の出願数は前年比101%とわずかに増加しました。

私立大学医学部は、地方の受験生が東京でしか試験を行っていない医学部の受験を控えるなど、コロナの感染拡大の影響を受けて受験校を絞った受験生も多くなりました。

地域別では、北海道、東北、北陸、九州・沖縄が前年度の志願者数を下回りました。関東や近畿、東海などの大都市圏の受験生が、コロナの感染拡大を受けて、地方の大学に受験しに行くのを避けたためだと思われます。

一方で四国では最も増加が大きく、前年度比で124%となりました。香川大学と愛媛大学が今年度から後期日程を廃止し、前期の定員がどちらも35人増えたことが影響していると考えられます。

国公立大学の医学部全体では前年比101%となりましたが、中でも増減の大きな大学をまとめたのが以下の表です。志願者数が前年比±30%以上の大学をまとめました。

大学名 2020年度志願者 2021年度増減数 前年比
秋田大 364 244(-120) 67%
福島県立医科大 270 430(+160) 159%
三重大 298 401(+103) 135%
和歌山県立医科大 171 243(+72) 142%
徳島大 151 212(+60) 140%
香川大 287 382(+95) 133%
愛媛大 306 531(+225) 174%
長崎大 284 422(+138) 149%
熊本大 487 332(-155) 68%
大分大 285 178(-107) 62%
宮崎大 226 296(+70) 131%

秋田大学、福島県立医科大学、和歌山県立医科大学、徳島大学、長崎大学、宮崎大学などは、志願者数が1年おきに増減を繰り返す国公立大学特有の現象である「隔年現象」が起きていると思われます。

香川大学や愛媛大学は、上にも述べたように、後期日程廃止とそれに伴う前期日程の定員数の増加が原因でしょう。一方で大分大学は、前期日程の定員が10名減少して55名になってために志願者数が激減しました。

熊本大学の場合は、2019年と2020年に多くの志願者が集まったために、今年度の受験生が敬遠して形となりました。

私立大学医学部で人気があったのは、東北医科薬科大の前年比107%、独協医科大の前年比102%、日本大一般方式(N方式)の前年度132%が挙げられます。

コロナ渦で医学部の受験者数が増えた理由

コロナ禍に見舞われた2021年度の大学受験で、医学部の受験者数が増えた理由を解説します。主な理由としては以下の2つが考えられます。

  • ・コロナ禍での就職内定率の低下により、理系学部が人気
  • ・コロナ禍で医療の大切さを実感し、医療系学部を志望する人が増加

それぞれについて解説していきます。

コロナ禍での就職内定率の低下により、理系学部が人気

コロナ感染拡大の影響で、世界経済が大きく落ち込んでおり、今後の大卒の就職内定率が下がることが見込まれます。そのため、専門知識や資格を身につけることができる理系学部の人気が高まっていると思われます。

バブル崩壊後やリーマンショック後など、過去の不況でも理系人気は高まっていました。今後の経済状況も同様の傾向が続くことが見込まれるため、来年度も理系人気は変わらないと思われます。

コロナ禍で医療の大切さを実感し、医療系学部を志望する人が増加

去年からはコロナの感染拡大により、テレビやインターネットでは医療の大切さが連日叫ばれ続けています。その影響で、医療関係で活躍して社会に貢献したいと思う受験生が増加したと思われます。医学部は以前から人気がありましたが、今年さらに人気の高まりを見せています。

また、今年度医学部よりも人気の高かった学部が薬学部です。薬学部は学部別では一番人気となっており、コロナワクチンの開発についてのニュースの影響で、薬の開発に携わりたいと思う受験生も増加したのでしょう。

これらの事情を考えると、コロナの感染拡大はまだ収まる気配がないので、2022年度にもこの医学部人気の傾向は続くと思われます。

まとめ

2021年度の医学部受験の動向や志願者数の増減の大きい大学、そして医学部人気上昇の原因などを解説してきました。

コロナ禍による不況での就職内定率低下による理系の人気、コロナ関連のニュースにより多くの受験生が医療や薬の大切さを実感したことが医学部の受験者数の増加に繋がったと思われます。

昨今の社会情勢から考えると、2022年度もこの傾向が続くと思われます。志願者数が急な増加もあり得ることを考慮しつつ志望校を決めることが重要になってくるでしょう。